中国人が実際には話さない「~アルヨ」?
中国人其实不说「~アルヨ」?
中国人が日本語で店員と話しているのを見るたびに思うことは、マンガやアニメでよく見かける、「~アルヨ」という表現、あれ何なの……? ということです。
当看到中国人用日语对店员说话的时候就会想到,动漫里经常出现的「~アルヨ」,到底是什么意思呢……?
「アルヨ」は「ワタシ中国人アルヨ」のように、中国人特有の語尾とされていますが、実際にそんな話し方をしている人など見たことがありません。どうして、このようなステレオタイプが生まれたのでしょうか?
「アルヨ」的用法是「ワタシ中国人アルヨ」(我是中国人阿鲁),是动漫里经常出现的中国人特色句尾,但其实从来没听过有人这么说。那,为什么在日本会存在这样的误解呢?
まずは「アルヨ」の歴史をたどる前に、「役割語」という概念をおさえておきましょう。
在介绍「アルヨ」的历史之前,先让我们看一下「役割語」的概念吧。
「役割語」とは?
「役割語」是?
例えば、小説に「ワシが佐藤じゃ。お主のことは山本から聞いておる」と話すキャラクターがいたとします。すると読者のほとんどは何の説明がなくても、「佐藤」がおじいさんであることを理解します。
比如,在小说里有这样说话的角色「ワシが佐藤じゃ。お主のことは山本から聞いておる」(老夫是佐藤,你的事情我从山本那里听说了)。这时候即使不向读者解释,大家也能明白佐藤这个人是个老爷爷。
この「ワシ」「じゃ」「おる」のように、フィクションの世界で人物のキャラクター付けのために使われる言葉を「役割語」と言います。「アルヨ」は、中国人を表現するための役割語。本物のおじいさんの一人称が「ワシ」とは限らないように、中国人も実際に「アルヨ」と話すわけではありません。
这种「ワシ」「じゃ」「おる」的用法,是为了给虚拟人物设定性格而使用的「役割語」。而「アルヨ」就是作者为了想要表示此人是中国人的“役割語”。就像现实世界的老爷爷第一人称不一定会说「ワシ」一样,中国人实际上也不说「アルヨ」。
では、どうしてこのような役割語が生まれたでしょうか。かつての中国人が使っていたから? この仮定は半分正解で、半分間違いです。
那么,为什么会产生这样的役割語呢。以前中国人真的这么说过吗?这个假设其实半错半对。
欧米人も「アルヨ」と言っていた?
欧美人也说过「アルヨ」?
1858年の日米修好通商条約を皮切りに各地に設けられた外国人居留地では、欧米人や中国人によって生み出された独特な日本語が話されていました。助詞が省略されていたり、語順がバラバラだったりといびつで、「アルヨ」もここから生まれた表現だとされています。
1858年签订日米修好通商条約后日本各地开始设立了外国人居住地,在这些地方生活的欧美人和中国人发明了一些独特的日语。要么省略了助词,要么顺序变得乱七八糟,「アルヨ」就是从这里诞生的。
つまり、この時点では「アルヨ」は外国人に特徴的な表現で、中国人限定のものではなかったのです。
也就是说,这个时候说「アルヨ」是外国人的特征,并非只有中国人。
その後、大正から昭和初期にかけて、日本人は台湾や満州に入植。中国人と日本人の接触が増え、このときもやはり上記のようないびつな日本語が使われました。特に満州国で用いられたこうした日本語は「協和語」と呼ばれ、中国人独特の表現となっていきました。
之后从大正到昭和初期,日本人开始移民到台湾和满洲。此时中国人和日本人的交流机会增加了,但还是在使用上面那种奇怪的日语。特别是满洲用的日语被称呼为“协和语”,成为了中国人独特的表达方法。
そうして、「アルヨ」のイメージが「外国人の使う日本語」から「中国人の使う日本語」に塗り替えられたというわけです。
于是,「アルヨ」从“外国人用的日语”变成了“中国人用的日语”。
現在では、「~なのじゃ」と話す年配の人にはほとんど出会わなかったり、、役割語の持つ意味も変わってきています。「~アルヨ」のような画一的な表現は、今後見かけなくなっていくのかもしれません。
现在几乎遇不到会说「~なのじゃ」的年长者了,役割語所代表的意思也变了。像「~アルヨ」这样一成不变的表现,以后或许就看不见了。
本文由知诸学院你里滴滴原创翻译,转载请注明出处。
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